野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

死ぬまでに食べたいサバ寿司

先日、映画の「黄金を抱いて翔べ」を観て、うーんこれってこんな話だったかなと思ったものだ。原作を読んだのはかなり昔で、内容をほとんど覚えていないのだな。ということであらためて原作を読んでみた。

黄金を抱いて翔べ (新潮文庫)

黄金を抱いて翔べ (新潮文庫)

新潮文庫で読んだのだが、奥付を確認すると、平成15年、つまり2003年の版だ。ということは、読んだのはほんの11年前ということになる。いや、「ほんの11年前」ってのは言い過ぎかもしれないが、20年以上前に読んだ本だとばかり思い込んでたから。
とりあえず、あの映画がかなり原作に忠実に作られていることに驚いた。もちろん、現代の物語として、細かいところは色々と変えられている。例えば一番大きいのは携帯電話だろう。それから登場人物の設定も色々と違うところはある。それでも大筋はほぼ同じだ。いきなり北朝鮮工作員が出てきたり、公安やら左翼やらそんな話とちゃうやろ、と思ったらそんなことなくて、きっちり「そういう話」だった。こりゃまいった。
ストーリーとしては、銀行を襲撃して地下の金庫にある金塊を奪う、ただそれだけの話のはずなのに、なぜだかそこに北朝鮮とか公安とかKCIAとか暴走族が絡んできて、えらくややこしいことになっている。なんだかナイトスクープの調査みたいだ。準備に時間をかけているとはいえ、実際の銀行襲撃なんて最後の1/5も無いし。「無駄に長い」という批判をする人もいるようだが、まあそう言いたくなる気持ちもわからんではない。けど、何なんでしょうなこの独特の雰囲気。幸田のちょっと異様なキャラクターによるところが大きいんじゃないかと思うけど。
一回目に読んだ時よりも印象が強いように感じる。先に映画を観たせいかもしれない。個人的には、「観る前に読む」派だが、この小説については、「読む前に観る」のほうが、より楽しめるという気がする。