野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

天ぷらとさつま揚げとつけ揚げ、とか

書店で『キッチン・インフォマティクス』なんていう本を見つけて、何と言うかこう、料理に関するあれやこれやを科学的に何やらして、料理が上手になる、みたいな本かなと思って買ってみた。

全然違いましたね。
料理に関連する自然言語処理と画像処理についての本だった。ていうかバシっと「料理を支える自然言語処理と画像処理」って副題に書いてますやん。
そんなもんのどこが料理に関係あるんか、と思ったけど、関係あるんですなこれが。
いや正確には、自然言語処理によって料理が上手くなるわけではない。しかし、たとえば昨今ネット上によくあるレシピサイト、ああいうのを見ていると、料理のジャンルとか食材などによってカテゴリー分けがされていたりする。そのカテゴリー分けって誰がやってるの?ってまあ基本的は投稿者がやってるのかもしれないけど、それってたぶんあんまり当てにできなくて、必ず不適切な分類をされていたり、そもそもカテゴリー分けなんぞやってくれなかったり、ということが容易に想像される。少なくとも、使っている食材のタグ付なんぞ投稿者はやってないだろう(たぶん)。
だからそういうのは、ソフトウェア的に自動でやる必要があるのだけど、たとえばタマネギとたまねぎと玉ねぎと玉ネギと玉葱はすべて同じ食材として扱わないといけないし、カジキマグロはマグロではないし、たぬきそばといえばトッピングは油揚げだろうと思っていたら天かすで、しかもそれは天かすではなく揚げ玉だなどと言われ、挽肉にパン粉をつけて揚げたものはミンチカツだと思っていたらメンチカツなどと言うものだから、何でやねんメンチは切るもんであって、揚げたらアカンやろ、と一悶着あったり。
という感じで、なかなか一筋縄ではいかないわけですな。
それは画像処理についても同様で、写真から何の料理であるか、分類するのは機械学習・深層学習の非常によくあるテーマである。そして料理そのものだけでなく、調理の様子を撮影した動画の解析とか、そりゃもういろんなテーマがある。
これら料理に関連する自然言語処理と画像処理の技術というのはずいぶんと多岐に渡っている。そのあたりを網羅的に紹介してくれているわけだが、ほとんどが「紹介」にとどまっており内容の詳細についての解説はない。そりゃそうだ、そんなもんいちいち詳細に解説していたら全12巻ぐらいになるだろう。そもそもわたくしが読んでもさっぱり理解できない。
そんなわけで、まあ研究者の皆様ご苦労さんなことです。