野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

気持ち悪い文章が満載ですよ

これまたやたらとKindleから「あんたこんなん好きやろ」とオススメされまくる『ふだん使いの言語学』。
そりゃまあ確かに川添さんの本は結構あれこれ読んでるからな。

たとえばスパムメールだったり、FacebookInstagramの詐欺アカウントからのメッセージだったり、読んでみて「怪しいな」と思うのは、その内容もさることながら、やはり日本語がどこか不自然だから、だったりする。
ではなぜその文章を不自然と感じるのか、というのを理論言語学によって説明されている。なるほど、と思う。
だいたいが日本語ってのは難しいのだよ。いや、日本語に限らず自然言語というのは難しいのだろう。その言語を母語とする話者にとっても難しいのだから、そうでない者にとってはなおさらだ。だから日本人以外が書いた詐欺メッセージはどこか不自然になる。
しかし、日本人だって詐欺メッセージを送ってくる可能性はあると思うのだけど、今のところ見知らぬ人から送られてくる怪しいメッセージは100%日本語が不自然だ。これはどう考えたら良いのだろう。
というのはおいといて。この本を読むと、日本語の難しさのかなりの部分は助詞の使い方にある、という感じがするな。もちろんそれだけではないけども。これは非日本語ネイティヴにとってはなかなかハードル高そうだ。日本人にとっての英語の前置詞や定冠詞・不定冠詞の使い方みたいなもんかな。自分が日々書いている英語のメールなんかの文章も、ネイティヴが読むと詐欺メールっぽくなっているんだと思うと、絶望的な気分になる。
この本はもちろん助詞の使い方だけでなく、語順などの文章の構造や、文脈に応じた言葉の選び方と受け取られ方などについても触れ、我々が日常的に体験しているコミュニケーションエラーの原因と対策についても解説されている。意外と実用的な内容だったりもするのだ。
できたらいろんな人に読んでほしいなあ。