言わずとしれたことだが、食べるってことは人間が生きていくうえでどうしても避けられない営みなわけだ。で、その「食べる」っていうのも、世界中見回してみると実にまあ、様々な食材、変わった調理法、というだけでなく、ちょっと想像を絶するようなシチュエーションで「食べる」ということがあったりする。その国や地方や民族や政治状況などの事情に応じて、それはもう多様な「食」の姿がある。つまり、「食べる」ということを通じて、そういう諸々の事情について理解することができる、いや理解というのとは違う、なにかを身体感覚として引き受けることができるのかもしれない。
「もの食う人びと」という本の試みは、そういうことなんじゃないか。だからこそ、わざわざバングラデシュまで行って残飯を食べてみたり、チェルノブイリで放射能汚染されたものを食べてみたり。
- 作者: 辺見庸
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1997/06
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それでも、「正義の味方」として、間違った世の中を糾弾したり正したりする、というわけではなく、時にグダグダになりながらも、とにかく自分の身体感覚とリアリズムにこだわった感じが、なんだかこれなら信用してもいいかなあ、と思ってしまう。
クロアチアの魚とトルコのケバブは美味しそうですな。