野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ドラマや映画では見たことないですね

たとえば「公安に目をつけられた」なんて言うとき、それは公安警察公安調査庁のどちらを指しているのだろう?
そんなこと今まで考えたことはなかった。それらが別のものだということを分かってなかったからだ。
佐藤優と手嶋龍一、この二人の組み合わせによる対談形式の本というのは、何とも独特のテイストで、正直なところどうも鼻につくというか、ちょっとうんざりさせられる部分もあったりするのだけど、でもつい手を出してしまうのだな。

で、この『公安調査庁』という本を読んで、前記のような区別があることにやっと気づいたわけだ。
いや、実を言うと以前に『公安は誰をマークしているか』という本を読んだことがあり、その中で公安警察だけでなく公安調査庁についての説明もあったのではないかと思うのだが、どうもその辺が記憶にない。というかちゃんと理解できず頭に入ってなかったようだ。
いずれにしてもこのお二人が言いたいのは、インテリジェンス活動の重要性、そしてインテリジェンス機関としての公安調査庁が(意外と?)優秀であること、だ。
金正男東京ディズニーランドに行こうとして入管で止められたケースを様々に読み解き、各国のインテリジェンスとの関わりについて紹介されるくだりなど、なかなか面白い。
インテリジェンス活動というのは、上手くいっているほど、一般人の目からは見えなくなり、「何もしていない」のと同じになる、という。なるほど。
公安調査庁にはもっとリソースが割り当てられてしかるべきだが、そのためには納税者の理解を得る必要があり、だからもうちょっと上手に宣伝しないと。って何言ってんの、と思うが、イギリスのMI-5なんかはテレビドラマなど作ってそれとなく宣伝しているらしい。へええ。
公安調査庁ではウェブサイトで「内外情勢の回顧と展望」という国内外の治安情勢をまとめた報告書を公開しており、これが非常に出来が良いのだそうだ。PDFでもダウンロードできる。
わたくしもちょっと平成31年版を目次だけ眺めてみた。全部で80ページほど。サイバー攻撃についても書かれているな。まあちょっとヒマな時にでも読んでみると良いかもしれない。