野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

実は駅弁ってあんまり好きじゃないけど

なぜか実家に原田宗典のエッセイ『こんなものを買った』があった。
誰が買ったのだろう?父は本を読む習慣はなかったと思うし、母が買いそうな本ではない。
可能性があるのはわたくし自身であるが、まったく記憶にないし、たぶんよほどのことがない限り単行本は買わないと思う。
まあでもせっかくあるんだから、と持ち帰って読んだ。

内容はタイトル通り。我々は日々何やかんやと買い物をしている。その時々で買ったものを取り上げ、それについてあーだこーだと書かれたものだ。
書かれている内容はというと、正直どうでも良いことばかり。いや、それはそれで面白いんですけどね。
文体はいわゆる昭和軽薄体、の系譜か。いま読むとかえってちょっと新鮮な感じがしなくもない。
いや、あんまりしないかな。

この本が出たのは1993年。初出は1991年5月から1992年11月までの毎日新聞の連載だ。
消費税が3%だった時代で、ビデオもファックスもワープロも普通に使われていた。カメラはもちろん銀塩だ。
そして子供の成長は8mmビデオに録画するのだ。
8mmビデオって何?って言われるのかな今は。
ソニーのハンディカムが「パスポートサイズ」なんて言って一世を風靡したんだぜ。
厚みはパスポート50冊分ぐらいあったし、レンズは明らかにパスポートサイズからはみ出してたけどな。
レコードの話もあったな。CDが主流になり、レコード針メーカーのナガオカが解散してしまったてな話を受け、手持ちのレコードが聴けなくなるとマズい、とターンテーブルを買う。デンオン製だ。デンオンっていつからデノンになったんだったかな。

そんな、時代を感じさせずにはいられない話ばかりかと思うと、JR小渕沢駅で売られている駅弁「元気甲斐」の話もある。
この駅弁、
アートディレクション伊丹十三
ネーミング:岩永嘉弘
デザイン:太田和彦
書:今井凌雪
イラスト:安西水丸
弁当ディレクション山本益博
料理設計:一の重・京都「菊乃井」、二の重・東京「吉左右」
お茶土瓶デザイン:島崎信
てな人たちが関わっているとのことで、何やらどえらい駅弁であるらしい。そしてこれは今でも売られており、大変な人気ですぐ売り切れてしまうのだそうで、これは一度食べてみねばなるまい。