野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

油脂はやっぱり快楽なのだな

お、土井せんせの新刊が出るやんけ、と少し前から手ぐすね引いて待っていた。
今度は『味つけはせんでええんです』ときたもんだ。

帯に「土井節炸裂」とある。たしかに、炸裂しとるな。
漫然と読んでいると、「えーっと何の話なんでしたっけ?」となる。
何なら書いているご本人も、時々そんな感じになる。
まあそれはそれで楽しいのだけど。
時々そんなことになりながら、料理を通じて地球について考えているのだ。
土井せんせはどこかで、「一汁一菜の家庭料理は誰にでも作れて、まずくなりようがないんです」みたいなことを言われていような気がするのだが、今度はいよいよ、「おいしくなくてもええんです」てなことを言い始めた。
え、大丈夫ですか?と思ったがしかし、そもそも「おいしい」とはどういうことか。
「おいしい」にも実はいろんな意味がある。「日常の無事を喜ぶもの」、「お祝いの喜びを楽しむもの」、「感性を通して喜ぶもの」、「本能を楽しませるもの」、「本能の快楽をともない、視覚・味覚両面の造形を楽しむもの」。
最初の三つぐらいが日本の伝統食文化であり、後の二つは外来のものである。経済と結託し我々を支配しようとする、この後半の二つは、「自然も人間も過ぎると持続不可能になるもの」と…
なるほど。
すっとぼけているようで、実に深い。さすが土井せんせ。