野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

正直ちょっと胡散臭い感じもしますけど

たまたま書店で見かけた『世界の経営学者はいま何を考えているのか』を読んだのは、10年ほど前のことだった。

同じ著者が、各種の経営理論を幅広く紹介するあの本を、質量ともにパワーアップして今度は『世界標準の経営理論』として出していた、らしい(数年前に出ていたらしいのだが知らなかった)。

いわゆるところの「鈍器本」に分類されるであろうマッシヴな書籍なので、持ち歩いて通勤中に読む、などというのは筋トレが目的でもなければあまりお勧めはできない。なのでKindleで購入したのだが…
やっぱり紙の本の方が良かったかな、と少し後悔している。
まあとりあえずはKindleで何とか通読した。
しかしこれ、Kindleで読んでも、もひとつ頭に入りにくい。
原因のひとつにわたくしがおっさんだから、というのがあるのは否定できないが、レイアウトにも問題があるんじゃないかと思う。どうも紙の本とKindleでレイアウトが異なるようなのだ。紙の本の1ページ分の内容がKindleの1ページに収まりきらずにはみ出し、1.2ページぐらいになっている(最小のフォントでもこの状態)。だから紙の本では832ページなのが、Kindleだと軽く1000ページを超えてしまう。
ページ数が増えるだけなら良いのだけど、中途半端なところに脚注が入っていたり(それは脚注とは言えんな)、英単語が妙にハイフンで区切られていたりする(紙の本では単語の途中で改行が入っているのだろう)。そして図表は字が小さすぎて読めない。
そんな本を1月ほどかけてちびちび読んだ。もう最初の方の話なんぞ忘れとるわな。
でもまあ、とにかくカバレッジは広い。というか経営理論というのは非常に学際的で、いろんなもの(主には経済学、心理学、社会学がベースになったもの)をかき集めて、様々なビジネス上の事象についての理論体系を組み立てようとする試みなわけだから当然か。
で、多岐にわたるあれこれの経営理論について説明してきておきながら、ビジネスモデルやビジネスを説明できる経営理論は無い、なんて言うからずっこけてしまう。ラカンの「女なるものは存在しない」みたいな感じか。トリッキーだなあ。
相当にマッシヴでお腹いっぱいになる本だったけど、知識創造理論がいまだに進化し続けてる、ってのが一番びっくりしたかな。