野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

体質だからしょうがないよね

“ものを集めるということにそれほど興味があるわけではない”なんて書いているけど、村上さん明らかにコレクター体質でしょう。
その結果として“いろんなものがついつい「集まってしまう」”ということについての自覚はあるようだけど。
いくつかのエッセイを読んで、レコードを大量に保有されているということは知っていたのだが、『村上T』によると、どうやらTシャツに関しても、常軌を逸した枚数をお持ちであるらしい。
村上T (新潮文庫 む 5-45)
それにしてもこんなにTシャツをため込んでどうするのだろう?特に、どこに着ていけば良いのかわからない(というか外では着られない)ようなTシャツのあれこれを見るにつけ不思議に思う。が、まあこういうのは一種の疾患のようなものであるから、どうする?などと訊かれても答えようなど無いのだと思うけど。

わたくしの亡父も、コレクターというわけではないのだがとにかくモノを捨てられない人で、実家にはとにかくありとあらゆるもの(必要なもの以外のすべて)が貯蔵されていた。その中には多くの未使用の衣類、殊にTシャツが大量に含まれていた。
それらのどれひとつとして、ちょっと着てみようかな、と思わせるものは見当たらなかった。数年ほどかけて、やっとそれらの廃棄処分をしたところだ。
大量のTシャツをコレクションした結果、実際に着ることがなくても、ちゃんとこのようなエッセイの形になって(さらに一部は小説や映画にまでなって)世の人々を楽しませている事例がある一方で、遺族をゴミ屋敷の脅威に晒し、いつ果てるとも知れない片付けの苦行を強いることもある。
何というか、本来の主旨とは違うところでちょっとばかし考え込んでしまったことだった。