『汚れた手をそこで拭かない』。何やらけったいなタイトルだな、と思いつつ読んでみると、もうどれもこれも、地味に嫌な感じの物語ばかり。
ミステリー、というほど大層な話ではない。だいたい、日常の些細なことだ。その些細なことが時に、取り返しのつかない過ちや破滅につながっていったりする。
なるほどそういうことか、と思う。
誰だって、どれだけ気をつけていても、うっかり手を汚してしまうことはあるのだ。
で、その汚れた手をきれいにする正しいやり方は、わかっている。
わかっているのに、間違ったところで拭いてしまうのだ。
嫌な感じの話だなあ、と思いつつ、ほぼ一気に読んでしまった。すごいわこれ。