野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

読書

料理教室もあるでよ

大阪梅田から「山手を走る電車」に乗り、駅からバスに乗って二つめのバス停で下車したあたりにある洋菓子店。 店の名前は「スイート・ホーム」。その家族についての物語が、そのまま店名をタイトルにした連作短編集になっている。スイート・ホーム (ポプラ文…

もちろんT嬢も登場

先日読んだ『言語学バーリ・トゥード』の何がすごいって、それ自身の面白さもさることながら、派生して関連書籍にいくつか手を出してしまったことだな。 そのうちの一冊が『三日月とクロワッサン』。 『言語学バーリ・トゥード』に何度となく登場するSTO先生…

越前屋vs金森屋

誰が買ったのか知らんが、藤沢周平の小説が実家に3冊ほどあった。先日実家に行った際に持って帰り、とりあえずそのうちの一冊『麦屋町 昼下がり』を読んでみた。麦屋町昼下がり (文春文庫)作者:藤沢 周平文藝春秋Amazon短編が4篇。よくもまあ、これだけ似た…

ここでも「絶対に押すなよ」が

今は「第三次人工知能(AI)ブーム」であるらしい。深層学習が実用的になったのと、ビッグデータが効いているのだとか。 そうするとやはり、ある種の仕事はAIに完全にとって替わられるてな話がまことしやかに語られ、便乗して煽り立てる連中やら、浮き足立っ…

みなさん太っ腹よね

"OpenIntro Statistics"はアメリカのデータサイエンティストたちによって書かれた統計学のテキストで、こいつは何とPDFが無料で配布されている。 それだけでも大概]すごい話だが、その日本語版PDFもまた無料でダウンロード可能となっている。 コロナ禍により…

考えてもわかりゃしませんよ

単行本で邦訳が出た時に話題になり、ちょっと気になっていたルシア・ベルリンの『掃除婦のための手引き書』が文庫になった。掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集 (講談社文庫)作者:ルシア・ベルリン講談社Amazonさっそく買い求めて読んでみたの…

ディープですね

なんでこの本をわざわざ買ったのか、うまく思い出せない。最初は紙の本を貸してもらったのだ。で、その後にオライリーのサイトからPDFをダウンロード購入したのだ。こいつをMOBIフォーマットに変換してKindleで読もうとしたのだが、文字化けがひどくてとても…

イカレた師匠の弟子は意外とマトモだった

副島某というクセの強いおじさんと佐藤優氏の対談を読んで、いったい何者なんだこの人は、と思っていたら、その弟子とされる人の書いた『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』などというセンセーショナルなタイトルの本がKindleのおすすめに出てきた…

とにかく古典は読んどけっちゅうことよ

有名なSFの古典、名作というのを、実はほとんど読んだことがない。 ハインラインの『夏への扉』も、そのひとつだ。夏への扉〔新版〕 (ハヤカワ文庫SF)作者:ロバート A ハインライン早川書房Amazonそういう小説があるのは知っていたが、わざわざ読んでみる気…

人の嫌がることをしたらアカンよね

イスラム教やムスリムに関して知っていることは、そう多くない。 豚肉を食べない。酒を飲まない。一日のうちに何回か祈りを捧げる。断食をする月がある。人前で女性は髪を隠さなければならない。 大きく分けるとシーア派とスンニ派があるが、どちらが多数派…

あんまり十二神将は関係無いような気が

さる筋で話題になっていた『十二神将変』を読んでみた。十二神将変 (河出文庫)作者:塚本邦雄河出書房新社Amazonもともと古い小説なのだ。それが最近になって新装版としてリリースされたものであるらしい。 いやしかし、いくら古いったって70年代だろ。いきな…

ゆっくり書いたらええやんけ

いったい何だったか思い出せないけども、調べものをしている時に、『ゼロ秒思考』という本について紹介している記事に行き当たった。そういえば何年か前、いやひょっとすると十年以上前かもしれんが、そういえばそんな本があったなあと思いつつ、妙に気にな…

そりゃ同じでしょうよ

先日読んだ『言語学バーリ・トゥード』に登場するSTO先生は、実は朝日新聞の書評委員である、ということに気付いた。 そのSTO先生が紹介していたのが『清少納言がみていた宇宙と、わたしたちのみている宇宙は同じなのか?──新しい博物学への招待』という長っ…

過学習ってやつですね

ある日の朝刊広告にあった AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか というフレーズに激しく興味を引かれた。 『言語学バーリ・トゥード』という本の広告だ。バーリ・トゥードって何だったっけ?南米の格闘技とかそんなんだったかな。何だか面白そうな本だ。で…

わたくしポリアンナ見たことないんです

『困難な組織を動かす人はどこが違うのか』などという本がKindleに入っていて驚いた。 誰が買ったんだこれ? ってそりゃもちろんわたくしが自分で買ったに決まっている。実際、心当たりが無い訳ではない。というか「試し読み」で最初の方をちょっと読んだよ…

悲しいことが多いんでしょうけど

『平家物語』もいずれ読んでみなければ、と思っていたのだ。 しかし、いきなり原文に手を出す根性はない。 現代語訳と解説がついたものもあるが、あれはあれでちょっとまどろっこしい。 原文の調子の良さがまったく味わえないという点は割り切って、まずは現…

アーティチョークはフリットがうまかったよ

WOWOWで「CONTACT ART」という番組がある。原田マハさんが日本各地の美術館を訪れ、そこに収蔵されている名作の解説をする、さらにはその美術館がある街を散策したり良さげな店に行ってみたり土地の名物(とは限らんが)を食べてみたり、という内容だ。 そこ…

最近は「いい箱つくろう」なんですって

今年は久しぶりにNHK大河ドラマを観ている。『新選組!』以来だから18年ぶりだ。 小四郎の顔芸、政子の雄弁で白目がちな巨眼、佐殿のクズ野郎っぷり全開な芝居を満喫しているわけだが、よく考えてみると、鎌倉幕府の成り立ちであるとか、その後の北条氏によ…

統計的にはどうかしらんが感覚的には有意な差があります

むやみに数式をひねくり回したところで統計学を理解できるわけではない。 もうちょっとこう、理論的なところをちゃんと説明してくれている本はないもんかな、ということで、書店で見つけたのが『松原望 統計学』だ。松原望 統計学作者:松原 望東京図書Amazon…

そこらじゅう異界だらけ

何でまたそんなもんを… という感じだが、Kindleストアで『異界と日本人』なんていう本を見つけて、ついうっかりダウンロードしてしまった。異界と日本人 (角川ソフィア文庫)作者:小松 和彦KADOKAWAAmazon異界、というとずいぶん大層な、というか、おどろおど…

別に辛くはないのですが

新型コロナのパンデミック以降、斎藤環氏は「コロナ・ピューリタニズム」とか「コロナ禍により均質化された時間意識」とか「人と会うことの暴力性」といった論考を、次々とnoteで発表されている。 いずれもなかなか興味深い内容であるのだが、これらをお題と…

ちゃんと謎は解けましたよ

『ブルシット・ジョブの謎』などという本を見かけて、お、なんだデヴィッド・グレイバーの『ブルシット・ジョブ』のパクりか?と思ったら、著書はなんと日本語版の訳者だった。ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか (講談社現代新書)…

カイとかFとかポアソンとか

最近はデータサイエンスとか何とか、統計学ってのは基本的な教養でっせ、て。よう知らんけど。 多変量解析もセイバーメトリクスも計量経済学も、ベースは統計学ですからね。 何か適当な本で、どんな感じかざっくりとでも押さえておくか。 そんな時にはやっぱ…

だんだんわからなくなってきました

Twitterで見かけて強く興味を引かれた『ちいさい言語学者の冒険』を読んでみた。ちいさい言語学者の冒険-子どもに学ぶことばの秘密 (岩波科学ライブラリー)作者:広瀬 友紀岩波書店Amazon「か」に濁点がつくと「が」、「さ」の場合は「ざ」になる。 では「は…

とりあえずは軽めのもので

『BECK』を1日で読んでしまったので、今日は本を一冊。 実は昨年の暮れから読み始めていた『常設展示室』を、これまた一気読みした。常設展示室―Permanent Collection―(新潮文庫)作者:原田マハ新潮社Amazonほどよいボリュームの短編集。 子供の頃から絵画…

茨木市郡は5丁目までしかありません

『疫病神』シリーズの一作目の次に、続編のつもりで『螻蛄』を読んだら、途中がだいぶ飛んでいることに気付き、しまった次はちゃんとシリーズ二作目の『国境』を読もう。と思っていたはずなのに、『国境』と『暗礁』を飛ばして『破門』に手を出してしまった…

象をナメたらあかん

東日本大震災による福島第一原発の事故は、ありとあらゆる方面に甚大な影響を及ぼした。 それらのいくつかを取り上げた短編集が『象は忘れない』だ。象は忘れない作者:柳 広司文藝春秋Amazonこのタイトル、オリジナルはアガサ・クリスティの小説("Elephants…

口は災いの元でっせ

11月の上旬に海外出張から帰ってきた後の隔離期間中、スマホにインストールさせられたアプリから、位置情報の送信とビデオ通話への応答を毎日要求された。 これって『一九八四年』に登場するテレスクリーンじゃないか、と思ったものだ。新型コロナウイルス感…

ややこしいおっさんやで

この副島隆彦という人は、いったい何者なんだ? 『ウイルスが変えた世界の構造』を読んでそう思った。ウイルスが変えた世界の構造作者:副島隆彦,佐藤優日本文芸社Amazon新型コロナはただの風邪なのに騒ぎすぎ。 先のアメリカ大統領選では不正選挙が行われて…

困難なのはわかりますけど

ちょっと前に、私が責任者ですとか責任を痛感していますとか無闇矢鱈と言うばかりで、ついぞ責任なんぞ取ったためしのない内閣総理大臣、なんてのがいたような気がする。 実際問題、責任なんて取れないんですよ、と『困難な成熟』に書かれていた。困難な成熟…